給与を手取額で決めているときの税額計算
Q 当社では、中途採用者に対して手取額ベースで給与を決めています。この場合の源泉徴収税額 は、どのように計算するのでしょうか。
P 手取額ベースで給与を決めていても、源泉徴収税額は給与支給総額を基に計算しなければなりません。
A
中途採用の場合、給与を手取額ベースで決める場合が結構あるようです。
それは、社員にとって生活プランが立てやすいという理由からなのでしょうが、源泉徴収税額を計算する場合には、手取額ベースで計算するというわけにはいかず、給与支給総額(手取額+源泉徴収税額)を基に行わなければなりません。
しかし、手取額から直接税額を求めることはできませんから、実務では次のような手順で税額を求めます。
@税引後給与の金額から社会保険料を控除し、その金額を「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」とした場合の税額を求めます。
Aその税額の欄を下方に順次下がり、その欄の税額と社会保険料控除後の税引後給与の額との合計額が「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」欄に当てはまるところを見つけます。
Bその欄の税額が求める税額になります。
具体例で示しますと次のとおりです。
設例
・税引後給与の金額 200,000円
・社会保険料 27,056円
・扶養親族等の数 1人
・給与所得者の扶養控除等申告書の提出 有り
(注)この場合の社会保険料の額は報酬月額を200,000円とした金額によっています。
給与所得の源泉徴収税額表
(税額計算)
@税引後給与から社会保険料を控除します。
200,000円−27,056円=172,944円
A月額表の「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」が172,944円で扶養親族等の数が1人の場合の税額3,370円を求めます。
Bその税額の欄を下方に順次見ていき、その欄の税額と@の金額との合計額が「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」欄に当てはまるところを見つけます。
Cその欄の税額が求める税額です。設例の場合、2行下の「175,000円以上177,000円未満」の欄が該当(3,590円+172,944円=176,534円)しますので、この欄の税額3,590円が税額ということになります。
Dつまり、給与の総額は203,590円、源泉徴収税額は3,590円になります。