Q 司法書士や税理士等に報酬を支払う場合の源泉徴収について、注意すべき点があれば教えてください。
A 税額計算するうえで注意すべき点が何点かありますので、ご注意ください。
解説
会社が、司法書士や税理士、弁護士などのような一定の有資格者に報酬を支払う際には、その報酬にかかる所得税の源泉徴収しなければなりません。
この場合、その名義がたとえ謝金、取材費、車賃、記念品代、酒こう料等として支払われるものであっても報酬の性質を有するものであれば、源泉徴収の対象となる報酬に含めなければなりません。
源泉徴収する税額は、その報酬の内容により、次のとおり規定されています。
@司法書士に対する報酬
司法書士に支払う報酬については、一回の支払金額から1万円を控除した残額に10%の税率を乗じた金額を源泉徴収します。
この場合、司法書士を通じて支払った登録免許税や登記簿謄本の手数料等は、源泉徴収の対象から除外して計算をします。
また、控除する1万円は、一の委託契約ごとに控除します。
A税理士、弁護士に対する報酬
税理士等に支払う報酬については、支払金額に10%の税率を乗じた金額を源泉徴収します。ただし、同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、その超える部分の金額については、20%の税率を乗じて計算します。
B経営コンサルタントに対する報酬
有資格者でない、いわゆる経営コンサルタント等と称する者(個人)に対して報酬を支払う場合には、企業診断員の業務に対する報酬としてAと同様の源泉徴収をしなければなりません。
C報酬額に消費税等の額が含まれている場合
なお、その報酬額に消費税等の額が含まれているときは、原則として、その消費税等の額を含めた金額を基に源泉徴収をしますが、司法書士や税理士等からの請求書等において、その報酬等の額と消費税等の額が明確に区分されている(消費税等の金額が記載されている)場合には、消費税等の額を控除した金額を基に源泉徴収しても差し支えありません。
税理士や弁護士等の業務に対する報酬であっても、その支払いを受ける者が法人である場合には、源泉徴収の必要はありません。
また、税理士が主宰する会計帳簿の記帳代行会社に対して、報酬を支払う場合にも源泉徴収する必要はありません。
税理士や弁護士と顧問契約を締結して、毎月一定額の顧問料を支払うこととしている場合には、これらの者がその支払者に専属していると認められるときは給与、そうでない場合は報酬として源泉徴収しなければなりません。
報酬額が手取契約となっている場合は、支払者が負担する税額についても支払金額に含めて税額を計算しなければなりませんので注意が必要です。
(設例)
税理士報酬の手取額 支払金額(報酬の額) 源泉徴収税額
10万円 10万円÷(1−0.1) 111,111円×10%
=111,111円(円未満切捨て) =11,111円