Q 当社は、適格退職年金制度から他の年金制度に移行を検討中です。移行に伴い源泉徴収が必要になることはありますか。
A 源泉徴収が必要になることはありません。
適格退職年金制度は、確定給付企業年金制度の導入に伴い、平成14年4月から10年間の経過措置を経て廃止されることとなっています。したがって、この制度を導入している企業は、この間に他の年金制度に移行するか、解約をしなければなりませんが、移行した場合には、次のように取り扱われることとなっています。
@確定給付企業年金への移行
確定給付企業年金へ移し換えされる年金資産は、従業員(加入者)に帰属しないことから、従業員に対しては課税関係は生じないとされています。
A確定拠出企業年金への移行
確定拠出企業年金への移行に伴い返還される解約金は、加入者には支払われれず会社に一旦返還され、それを確定拠出年金に払い込むということになりますので、従業員には課税関係が生じないこととされています。
B中小企業退職金共済制度への移行
中小企業退職金共済制度へ移行する場合、移し換えされる年金資産は勤労者退職金共済機構に引き渡されることになりますので、従業員には課税関係は生じないこととされています。
新しい年金制度に移行せず、適格退職金制度を廃止、契約を解除するという場合は、年金資産は事業主に返還されず、従業員に支払われることになりますが、退職を基因としていませんのでこの場合は、退職所得とならず、従業員の一時所得として課税の対象になります。
なお、適格退職年金契約の年金受給資格者が、年金に代えて一時金の支給を選択した場合で、その一時金が退職日以後年金受給開始日までの間に支払われる場合、又は年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち将来の年金給付の総額に代えて支払われる場合には、その一時金は退職手当として取り扱われることとなっています。ただし、この場合の一時金は、適格退職年金契約の受託会社である生命保険会社等から支払われることになりますので、会社においては、源泉徴収は不要になります。
また、適格退職年金契約の加入者に退職金の打切り支給をするという場合に、年金に代えて支払われる一時金については、会社からの退職金が併せて支払われる場合に限り退職手当として取り扱われることになっています。ただし、加入者に支払われる退職手当等が適格退職年金契約に基いて支払われるもののみという場合には、会社からの退職金の支払いがなくても退職手当として取り扱われることとなっています。なお、この場合も一時金は、適格退職年金契約の受託会社である生命保険会社等から支払われることになりますので、会社においては、源泉徴収は不要です。