Q 会社が従業員の自己啓発費用を負担した場合は、源泉徴収が必要になりますか。
A その費用が、従業員の業務に直接必要なものであるときは、源泉徴収の必要はありません。
会社が、従業員に対して奨学金を支給したり、学費を負担して通学させたりすることにより、従業員が受ける経済的利益については、原則、給与として取り扱われますが、会社が自己の業務遂行上の必要に基づき、従業員等としての職務に直接必要な技術もしくは知識を習得させるための研修会、講習会等の出席費用に充てるものとして支給される金品については、これらの費用として適正なものに限り課税されないこととされています。
つまり、会社の負担した費用が次のいずれにも該当するものであるときは、非課税となり、源泉徴収する必要がないということです。
ただし、その費用の負担が無条件で行われるものではなく、たとえば、勤続3年の従業員に対して行うという条件付きの負担であるような場合は、その費用は、会社からその従業員への勤務に対する対価として取り扱われますので、この場合には、その費用相当額は、その従業員に対する給与として課税されることとなります。したがってこの場合には、源泉徴収が必要となります。
上記の取扱いは、資格や免許を取得する費用についても、同様に取り扱われます。したがって、その資格が会社の業務に直接必要であるならば、その取得費用は会社が負担しても給与になりませんが、業務を遂行する上で直接必要でない資格である場合は、その資格がたとえ会社にとって非常に有益なもの(たとえば税理士や中小企業診断士などのような資格)であっても、その費用は、給与として取り扱われますので注意してください。
なお、国等から自己啓発給付金等の補助金を受け、これを研修に参加した従業員に研修費用の一部として支給しているときは、その研修が@会社の業務の遂行上の必要に基づくものである、あるいはA従業員の職務に直接関連するものである場合には、その費用はその従業員に対する給与として取り扱わなくてよいとされています。
また、会社が、従業員の修学のための学資金等を負担した場合は、原則として給与等として取り扱われますが、学校教育法第1条に規定する学校(中学校、高等学校などがこれに該当し、大学や高等専門学校は除かれます)を修学するための費用については、例外的に、その額が適正であり、役員の親族だけを対象としている場合を除き、給与として課税しなくてよいこととされています。