Q 当社は、今月の給与に先頃決定したベースアップ分を上乗せして支給します。この場合の源泉徴収の取扱いを教えてください。
A 昇給分は、支給月の給与と合計して源泉徴収税額を計算しますが、賞与として税額計算することもできます。
解説
給与所得の収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日に計上することとされています。
@契約又は慣習により支給日が定められている給与等については、その支給日、その日が定められていないものについては、その支給を受けた日
A利益処分による役員賞与等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その決議があった日。
ただし、その決議が支給する金額の総額だけを定めるにとどまり、各人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合には、各人ごとの支給金額が具体的に定められた日
B給与規定の改定が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧給与の差額に相当する給与等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
Cいわゆる認定賞与とされる給与等で、その支給日があらかじめ定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについては現実にその支給を受けた日(その日が明らかでない場合には、その支給が行われたと認められる事業年度終了の日)
つまり、給与規定の改定に伴ってその差額分を支給する場合は、その支給日が定められているときはその支給日、支給日が定められていないときはその改訂の効力発生日に給与所得があったとするわけですが、この場合の源泉徴収の取扱いは、次にとおり行います。
@通常の給与に差額分を上乗せして支給する場合
通常の給与と改定給与差額分との合計額に対する税額を計算して源泉徴収します。
A通常の給与を支給した後日に、差額分の支給をする場合(支給月は同月)
差額分を支給する場合には、通常の給与と改定給与差額分との合計額に対する税額から通常の給与に対する税額(当初の源泉税額)を差し引いた金額に相当する税額を源泉徴収します。
B差額分の支給をした後日に、通常の給与を支給する場合(支給月は同じ)
差額分支給時には、その差額分に対する源泉税額を徴収し、通常の給与を支給するときは、 通常の給与と改定給与差額分との合計額に対する税額から差額分を支給したときの税額(当 初の源泉税額)を差し引いた金額に相当する税額を源泉徴収します。
なお、改定給与差額分を一時に支給する場合、上記方法によると徴収税額が非常に多額になることもあることから、上記方法によらず、改定給与差額分を賞与として徴収税額を計算することも認められています。