Q 当社では、家庭の主婦に内職を依頼し、その出来高払いに応じて報酬を支払っています。この場合には源泉徴収が必要ですか。
A 主婦の所得が給与所得と認められる場合は源泉徴収が必要ですが、事業所得と認められる場合には必要ありません。
解説
源泉徴収制度とは、給与や利子、配当、報酬などの所得を支払う者が、その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、その所得の支払金額からその所得税額を差引いて国に納付するというものです。
したがって、その所得が給与所得である場合には源泉徴収が必要となりますが、事業所得に該当する場合にはその必要がありません。
つまり、その所得が給与所得になるのか、事業所得になるのかによって源泉徴収の取扱いが違うわけですが、その所得の違いは、一般的に次のように考えられています。
給与所得・・・雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付
事業所得・・・自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得
しかし、これら所得区分を判断するのは仲々難しく、具体的な役務提供契約の内容など総合的に検討しなければ判別できませんが、実務的には、次の事項などを総合勘案して判定することとされています。
@契約の内容が他人の代替を容れるかどうか(代替できない内容の場合は給与所得とされます)
A仕事の遂行にあたり、個々の作業について指揮監督を受けるかどうか(指揮監督を受ける内容の場合は給与所得とされます)
Bまだ引渡しを終えていない完成品が不可抗力のため滅失した場合において、その者が権利として報酬の請求をなすことができるかどうか(請求できる内容の場合は給与所得とされます)
C所得者が材料を提供するかどうか(材料を無償提供されている場合は給与所得とされます)
D作業用具を供与されているかどうか(供与されている場合は給与所得とされます)
したがって、例えば、内職者との役務提供契約が、次のような内容である場合には報酬について源泉徴収の必要はありませんが、それ以外の内容であるときは給与所得として源泉徴収しなければならない場合も生じます。
@内職者は自己の責任において業務を行っており、会社からの指揮監督を受けていないこと
A材料は会社負担であるが、不可抗力により材料が滅失した場合は本人負担とされていること
B材料費以外の諸経費は本人負担であること
C作業用具は自己のものであること