Q 当社では、この度、従業員を解雇するにあたり、解雇予告手当を支給します。この解雇予告手当の取扱いを教えてください。
A 退職所得として源泉徴収します。
解説
退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与にかかる所得をいい、次の要件を備えたものをいいますますが、その退職の原因は問いません。
したがって、自己都合で退職する場合であっても、会社の都合で退職する場合であっても退職により受ける一時金は、退職所得となります。
@退職すなわち勤務関係の終了という事実によってはじめて給付されるものであること
A従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払いの性質を有するものであること
B一時金として支払われるものであること
C上記の各要件を備えていなくても、実質的に同様であると認められるものであること
ところで、会社が従業員を解雇する場合には、労働基準法第20条(解雇の予告)により、少なくとも30日前にその予告をしなければならず、30日前に予告しない場合は、30日以上の平均賃金を支払わなければならないこととされていますが、この規定に基づく解雇予告手当は、解雇すなわち退職を原因として一時に支払われるものであることから、給与所得ではなく、退職所得として取り扱われることとされています。
したがって、解雇予告手当からは退職所得に対する所得税の源泉徴収をしなければなりません。
なお、その解雇が不当解雇であるときは争いになり、解決金(慰謝料)の支払によって解決する場合がありますが、この場合の解決金は、その内容によって次のように取り扱われます。
また、会社が従業員を解雇せず、従業員から希望退職者を募集するという場合に、再就職準備期間(休職扱い)を設け、手当を支給するという場合がありますが、この場合に支払われる手当は、退職準備のための手当ですが、雇用契約に基づくものであり、給与所得として源泉徴収をしなければなりません。