Q 当社は、このたび同業者団体主催の海外視察旅行に参加します。旅行費用が給与に該当する場合があるそうですが、教えてください。
A その旅行に通常要する費用の額に損金等算入割合を乗じた金額は、「旅費」、それ以外の金額は「給与」に該当します。
解説
会社が役員や使用人の海外渡航に際して支給する海外渡航費は、その渡航が業務遂行上必要で、かつ、通常必要と認められる部分の金額は旅費として処理することができますが、業務遂行上必要でないものや、旅費のうち通常必要と認められる部分を超える部分の金額は、その役員又は使用人に対する給与となります。
ところで、同業者団体が主催する海外視察旅行にように、業務と観光を併せて行うような旅行に参加する場合は、その旅行費用を「旅費」と「給与」に振り分けをしなければなりません。
この振り分けは、その旅行に通常要する費用の額に次の損金等算入割合を乗じて行うのですが、その損金等算入割合に応じて次のように取り扱うこととされています。
損金等算入割合= 「 (A) 」
(10%未満端数四捨五入) 「視察等の業務に従事した
と認められる日数(A)」 + 「観光を行ったと認められる日数」
(注1) 日数は、おおむね8時間を1日とし、以下行動状況に応じて0.25日(2時間)単位で算出します。
(注2) 視察等の日数とは、こうじょうや店舗等の視察、展示会や見本市等の見学、海外セミナーへの参加など、その会社の業務に必要とめられるものに係る日数をいいます。
(注3) 観光の日数には、自由行動時間や観光に付随して行った簡易な見学、儀礼的な訪問等が含まれます。
(注4) 目的地までの往復及び移動に要する日数、その他の日数は、その内容に応じて視察等の日数又は観光の日数とします。
(注5) 海外渡航費の振り分けは、その旅行の目的、旅行日程、参加費用の額、旅行の内容、参加者の役職などを基に行います。
@損金等算入割合が90%以上の場合
損金等算入割合が90%以上の場合は、その旅行に通常要する費用の額の全額を旅費として処理することができます。
A損金等算入割合が20%以上80%以下の場合
損金等算入割合が20%以上80%以下となる場合は、その旅行に通常要する費用の額に損金等算入割合を乗じて求めた金額を旅費とし、それ以外の金額はその役員または使用人に対する給与(賞与)として処理をします。
ただし、損金等算入割合(端数処理前の割合)が50%以上の場合は、往復の交通費の全額は旅費として処理することが認められます。
B損金等算入割合が10%以下の場合
損金等算入割合が10%以下となる場合は、その旅費の全額が旅行者たる 役員又は使用人に対する給与(賞与)となります。
つまり、損金等算入割合が80%以下の場合には、給与(賞与)課税の問題が発生するということですから、源泉徴収を忘れずに行わなければなりません。