Q 資金繰りの関係で、従業員の給与を一部来月に延ばそうと思います。この場合、源泉徴収はどのようにしたらいいですか。
A 支給総額に対する税額のうち、今回支給する額に対応する税額だけを源泉徴収します。
所得税では、給与等の支払いをする者が、居住者に対し、国内において給与等を支給する場合には、その支払の際にその給与等に係る所得税を源泉徴収しなければならないことになっています。
そして、その所得税の源泉徴収する時期は、源泉徴収の対象となる所得を現実に支払う時とされています。
したがって、これらの給与等の支給が確定していても、現実にその支払がなければ源泉徴収する必要はなく、未払いであれば、その未払いの給与等を支払う時に源泉徴収すればよいということになります。
では、お尋ねのように給与の支給総額が確定しており、その一部だけを支払うという場合には、どのようにして源泉徴収税額を求めるかといいますと、次のようにして求めることとなっています。
[手順]
@確定している支給総額に対する税額を求める。
Aそれぞれの支払額に按分して計算する
(設例)
・その月の社会保険料控除後の給与の金額 250,000円
・扶養親族等の数 2人
・給与所得者の扶養控除等申告書の提出 あり
・今回支払う金額 150,000円
(税額計算)
@確定している支給総額に対する税額を源泉徴収税額表から求めます。
税額は、5,820円となります。
A5,820円を実際に支払う金額で按分計算します。円未満が出た場合は、切り捨てます。
150,000円
5,820円× ───── =3,492円
250,000円
B3,492円が今回徴収する税額です。
なお、来月に給与の残額を支給するということであれば、その時に、確定源泉徴収税額5,820円から今回徴収する3,492円を控除した残額2,328円を源泉徴収することになります。
賞与の一部を支給するという場合も同様の方法で源泉徴収税額を求めます。
手順は、次のとおりです。
[手順]
@「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の「甲欄」で、「扶養親族等の数」と「前月の社会保険料控除後の給与等の金額」に応じた「賞与の金額に乗ずべき率」を求めます。
A賞与の総額に@で求めた率を乗じて、賞与の総額に対する源泉徴収税額を求めます。
BAで求めた税額を分割支給する金額で按分します。
CBで求めた金額が納めるべき源泉徴収税額となります。