Q 当社は、従業員の有給休暇が消化できなかった場合は、これを買い上げることとしています。この場合、源泉徴収は必要ですか。
A 有給休暇の買い上げは、給与所得となり源泉徴収が必要です。
解説
所得税法では、給与所得について、「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与にかかる所得をいう」と規定しており、一般的
に、雇用契約又はこれに準ずる関係に基づいて非独立的ないしは従属的に提供される労務の対価と解されています。
したがって、給与所得とは、雇用関係等に基づいて雇用主から定期的に支払われる給料、賃金等のほか、次のものも給与所得に含まれます。
@臨時的に支払われる賞与
A家族手当、皆勤手当、時間外手当、残業手当、住宅手当、休日出勤手当、役付手当、職務手当、期末手当、決算手当等が金銭で支払われるもの(支払名目を問いません。)
B金銭以外の物や権利等の供与により受ける経済的利益
C専従者給与
このように、賞与も給与も給与所得になるですが、源泉徴収税額の計算方法ではそれぞれ異なった取扱いをしますので、実務ではその区別しておかなければなりません。
所得税法では賞与の意義について定めがありませんが、法人税法において賞与とは、「臨時に支給される給与で、定期的に支給される給与及び退職所得以外のもの」と規定しています。
したがって、次に掲げるような給与で臨時に支払われるものは雇用そのものが臨時である場合を除き、賞与となります。
@利益を基準として支払われるもの
A支給額や支給基準があらかじめ定められていないもの
B支給期があらかじめ定められていないもの
ところで、会社が、従業員の有給休暇を金銭で買い上げる場合に、その従業員に支払う金銭は、労務提供に対する対価ですから、金額の多少にかかわらず給与所得に該当します。
したがって、その支給方法等により給与または賞与として所得税の源泉徴収をすることとなります。
なお、会社が有給休暇を買い上げる代わりに記念品等を支給する場合には、次の要件のいずれにも該当する場合を除き、現物給与として源泉徴収の対象に含めなければなりません。
@支給する記念品が社会通念上ふさわしいものであること
Aその記念品の処分見込価額が1万円(税抜き価額)以下であること
この記念品等には、商品券その他有価証券等は含まれませんので、これらを記念品等として支給した場合には、当然のことながら給与として取り扱うことになります。