Q 職務を兼任している者に対して退職金を支給する場合には源泉徴収の特例があるそうですが、どのような取扱いになるのですか。
A 前年4年内に他の退職金を受けている場合には、退職所得控除額の計算方法に関する特例があります。
解説
●前年4年内に他の退職金を受けている場合(控除不足がない場合)
会社が、その年の前年以前4年以内に他の会社等から退職手当等の支給を受けたことがある者に対して退職手当等を支給する場合において、その年の退職手当等についての勤続期間の一部がその年の前年4年以内に支払いを受けた退職手当等の勤続期間と重複している期間があるときは、原則として次の@に掲げる金額からAに掲げる金額を控除した金額を、その年に支払いを受ける退職手当等にかかる退職所得控除額とすることとされています。
@その年の退職手当等についての勤続年数(1年未満端数切り上げ)に応じて求めた退職所得控除額に相当する額
Aその重複している部分の期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。)を勤続年数とみなして求めた退職所得控除額に相当する額
具体的には、次のように計算します。
(設例)
@その年の退職手当等についての勤続年数=10年(9年5ヶ月・・端数切上げ)
A@の退職所得控除額=400万円(40万円×10年)
B関連会社と重複する勤続期間=6年(6年8ヶ月・・端数切捨て)
CBの退職所得控除額=240万円(40万円×6年)
D求める退職所得控除額=160万円(A−C)
●前年4年内に他の退職金を受けている場合(控除不足がある場合)
なお、前年以前4年以内に支払を受けた退職手当等の額が少額で、その退職手当等についての退職所得控除額に満たない場合(控除不足がある場合)には、前の退職手当等にかかる就職の日から次の表の算式によって求めた数(小数点以下の端数は切り捨てます。)に相当する年数を経過する日までの期間を重複期間として計算することとされています。
前の退職手当の収入金額 算式
800万円以下の場合 収入金額÷40万円
800万円超の場合 (収入金額−800万円)÷70万円+20
具体的には、次のように求めます。
(設例)
@その年の退職手当等についての勤続年数=10年(9年5ヶ月・・端数切上げ)
A@の退職所得控除額=400万円(40万円×10年)
B関連会社からの退職金130万円上記表の算式により求めた数=130万円÷40万円=3年(端数切捨て)
CBの退職所得控除額=120万円(40万円×3年)
D求める退職所得控除額=280万円(A−C)