Q 当社は、このたび新入社員をパソコンの講習会に参加させました。費用は会社負担ですが、源泉徴収は必要ですか。
A 社員の職務に直接必要な技術を取得するための実費負担額については、給与所得にはなりませんので、源泉徴収の必要はありません。
解説
会社が、従業員に対して奨学金を支給したり、学費を負担して通学させたりすることにより、従業員が受ける経済的利益については、原則、給与として取り扱われます。
ただし、会社が自己の業務遂行上の必要に基づき、従業員等としての職務に直接必要な技術もしくは知識を習得させ、又は免許もしくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用に充てるものとして支給される金品については、これらの費用として適正なものに限り課税されないこととされています。
したがって、会社の負担したパソコン等講習費用が次のいずれにも該当するものであるときは、非課税となりますので源泉徴収する必要はありません。
@その技術を取得することが会社の業務遂行上必要であること
Aその技術がその社員の職務に直接必要なものであること
Bその金額がその技術を取得するための費用として適正なものであること
なお、パソコン講座を入社時研修として、新入社員全員に受講させ、その費用を会社が負担するというような場合は、その講習が一般的な知識習得のためのものであり、職務に直接必要でないと認められるものについては、その費用は、その者に対する給与として取り扱われることとなります。
また、雇用契約のない採用内定者に対して、入社後にパソコンの知識が必要になるということから、入社前にパソコン講習費用を支給したような場合は、その者の雑所得となりますので、この場合には、源泉徴収をする必要はありません。
このように、資格等を取得させるための講習費用が課税されないものであるためには、その費用が職務を遂行する上において直接必要な資格を取得するためのものでなければなりません。
したがって、たとえば、会社が、税理士や中小企業診断士などのように経理事務にとって非常に有益な資格取得費用を負担した場合であっても、こうした資格は会社の業務遂行に必ずしも必要な資格ではなく、また、個人に一身専属的に帰属するものですから、会社がこのような資格取得のための費用を負担した場合は、給与として取り扱われることになります。
なお、一身専属的に帰属する資格取得のための費用であっても、ボイラー技士や危険物取扱主任者の資格のように業務遂行上直接必要な資格を取得するための費用については、その費用の額が適性である限り課税されることはありません。